BD「善き人のためのソナタ」

傑作。2007年アカデミー賞外国語映画賞受賞にふさわしい力作。色々考えさせられる素晴らしい映画。

東ドイツ出身、主演のウルリッヒ・ミューエが実に素晴らしいですが、軍役時代に患った胃潰瘍から来る胃ガンのため公表した翌日に亡くなられたそうです。実に残念。

主人公の監視対象となる脚本家、その恋人を演じていたのがマルティナ・ゲデック。みたことある顔だと思ったら「バーダー・マインホフ/理想の果てに」のウルリケ役の女優さんでした。濃い役が多いことです。酒場のシーンが印象的でした。

主人公の上司役、東ドイツ国家保安省、秘密警察の中佐役ウルリッヒ・トゥクルという俳優さんも非常にイヤ〜な感じあふれるいい演技。社会主義の悪い部分を描く、よいキャラクターになっていたんではないかと思います。

映画の終盤、壁の崩壊によって東ドイツも崩壊し整然としながらも灰色に包まれていた社会が、カラフルで雑然とした社会に変わります。情報公開によって恩を受けたことに気づいた脚本家が、安易に礼を口にしたり金銭で片付けるのではなく形で返したことが実にかっこよかった。またそれを受け止めた側の姿勢にも感じるものがありました。