映画「ソーシャル・ネットワーク」

良作。わたし自身は非常に楽しめましたが、ただこれを登場人物の周辺事情、コンピューター関係の用語を全く知らない人がみて同じように楽しめるのか、という点においてはちょっと疑問を持ちます。日本だとあまりウケないんじゃないかなぁ。

Wikipediaの映画についての記事によると映画原作ともなった本はマーク・ザッカーバーグ本人には直接取材できず、関係者への取材から作成したもののようです。共同創業者でもあるエドゥアルド・サベリンなども裁判での和解条件があるために同様に取材を拒否されたでしょう。つまり直接証拠ではなく状況証拠から固めていったようなもので、想像で埋め合わされた部分もあるようです。映画の最後に「一部フィクションです」というのがでます。

ハーバード大学の学生であるマークがフェイスブックを作るに至った経緯から始まります。映画の導入部分で強く感じたのは「ホントこいつ友達いねーんだなぁ」ということ。学内、寮内にはそれなりに多数の学生がいますが、すれ違いならもまったく会話することなく淡々と学外のパブから寮に戻るシーン、それがいきなり印象的でした。

それとNapsterの創業者ショーン・パーカーがFacebookに絡んでいるとは全く知らなかったのでその点は驚きでした。Napsterは日本では正直それほど爆発的なヒットにならないまま沈没してしまったので、その後一世を風靡したWinMXWinnyの方が有名なのではないかと思います。個人的にはNapsterには非常に大きな衝撃を感じて、その結果としてWindowsに乗り換えたといっても過言ではない位だったので驚きました。そしてまた、破産後に再起を果たしているというところにもアメリカらしさというかエネルギーを感じました。まあ麻薬がらみで沈没するあたりもアメリカらしいですが…

ApacheLinuxなどネットワークを構成する要素の概要、用語を知っているかどうかで細かいところを理解出来るかどうか別れそうですが、そういった部分を除けばわかりにくいところはあまりないでしょう。ただ、単なるIT長者誕生の物語としてみてしまうと現在この映画がアカデミー賞の候補として騒がれているのは理解出来ないように思いますし、やはり見る人を少し選ぶ映画には変わりないのではないかなぁ。

http://chiruda.cocolog-nifty.com/atahualpa/2004/03/post.html ナップスター狂想曲書評
http://www.itmedia.co.jp/news/0309/30/nj00_napster.html