BD「Raavanan」

並。映像や演技の質そのものは文句なく一級品といえる出来に仕上がっているとは思うんですが、なんともって内容が…。マニ・ラトナム監督はいったいなにを訴えようとしていたのか、全く理解出来ませんでした。見終わった感想も「だからなに?」という感じです。

対決構図としてははっきりしていて、盗賊の親玉Vikramと所轄警官の親玉Prithviraj。Prithvirajの妻Aishwarya Raiが盗賊にさらわれ、最終的には警官隊に救出されるがその間に様々な出来事があり、善悪とは一体何なのかといったことが訴えられていたと思います。善悪の基準が曖昧で一体化しているようなところを表現したかったのかも知れませんが、映画を見ている限りでは悪人役Vikramが善人で、善人役であるはずの警察官Prithvirajこそが悪人にしかみえません。Vikram主演作で「Bheema」というのがありましたが、似たような感じでしたが、あちらのVikramはいいところもある完全な悪人。一方この映画では義賊という感じで、悪辣なところは争っている相手にだけしか向けられていなかったのでより善人っぽさが際立っていたように思います。もっと善悪渾然一体としたところをみせてもらいたかった。

Vikramはいつも通りさすがのパフォーマンス。文句つけるところは全くないと思います。
Prithviraj。小悪人っぽさ満点の警察官でした。憎まれ役としては十分だったのかもしれませんが、もっと愛憎相半ばするキャラクターにしてもらいたかったように思います。

あとはPrithvirajの妻役Aishwarya Rai。今日本でも公開されているロボットでの役よりも美しさが際立っていたように思います。それだけでも一見の価値があるかもしれません。さすがの元ミス・ワールド。

双方ともグループの頭ということでそれなりに登場人物がいますが、重要なのは数人。ただ、オチの部分にいたってそのすべてがどうでもよくなっていました。組織同士の抗争があのような決着になるというのは考えにくいのでもうちょっとどうにかしてもらいたかった。

ブルーレイにはメイキングが収録されています。さすがにそこは字幕なしですが、なかなかに貴重な映像が含まれていて楽しめます。

http://cauvery-south-cine.at.webry.info/201007/article_1.html 日本語で内容解説