BD「歩いても 歩いても」(米国盤:Still Walking)

良佳作。日常を淡々と描いてる映画なので賛否が非常に分かれているようですが、わたしはいい映画だと思いました。後世に残る偉大な映画、というほどではないと思いますが、一部の人には強い印象を残す、そんな映画かな。

舞台は非常に限定的で、基本的に自宅と墓だけ。ストーリー自体も割に淡々とした感じで波が立たないですが、内容は実に濃いというか深い感じです。

主人公は阿倍寛。割にあくの強い役が多い気もしますが、この映画ではそうでもない役。そういう意味では観客が感情移入しやすい役といえる気がします。

その両親役、原田芳雄樹木希林。この2人の演技がとにかく圧巻。二人とも強烈な個性を余すところなく表現していたように思います。原田芳雄が医師廃業後に男性的な割り切りをみせれば、樹木希林は随所で女性のねちっこさというか執念深さのようなものを見せてくれます。樹木希林は似たような役柄が最近は多いだけに印象という点ではやや薄く感じるかも知れませんが、恐ろしいまでの迫力を感じさせてくれました。

本音と建前。一番心を許しあえる間柄であるはずの家族ですら、大人になってからは子供時代とまったく同じというわけにはいかない。一番深く理解しあっているはずの家族ですらすべてをわかり合えているわけではなく、それでも折り合いをつけ日々生活していき、そして時間は流れていく。そんな淡々とした日常を、深く描いた映画でした。

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